永遠(とわ)に果てぬ愛
「さて、理由はどうであれ、会社のお金を横領した林彰宏には、会社を辞めてもらう。以前も何度か同じようなことをしているようだし。もちろん、お金は全額返金してもらう。
そこの2人は、内々ですませようとしただけだから、減給だな。次は、降格させるから」
「……申し訳ありませんでした……」
社長に言われては、覆すことは出来ない。
林サンはすぐに荷物をまとめ、会社を辞めていった。
去る間際に、和奏にも謝ったらしい。
オレに対しての謝罪はなかったけど、いなくなったからそれでいい。
課長と係長は、オレの正体を知ったせいか、よそよそしくなった。
それに、オレに敬語で話すようになった。
「お前って、社長の息子だったんだな」
先輩は何よりも先に、このことを小声で言ってきた。
おそらく林サンに聞いたのだろう。
それでも態度を変えない先輩にはほっとする。
これで、林サンのことは終わった。
だけど、安心は出来ない。
邪魔者がいなくなったことで、和奏にアプローチをかける男が増えたんだ。
それをおとなしく見ているほど、オレは出来た大人じゃない。
オレの我慢は限界だった。
林サンにケリはつけた。
もう我慢はしない。
一生の宝物を手に入れる。
誰にも邪魔されないように……。