永遠(とわ)に果てぬ愛



八塚くんがそう言うと、私を抱きしめる怜央の力が強くなった気がした。

八塚くんと莉奈を見ると、満足そうに笑っている。



「とりあえず、中に入ろうか」



そう言って怜央が車から降りた。

そして、私に手を差し伸べる。

少しだけ戸惑いつつも、その手を取り車から降りる。



「じゃあ、頑張ってねー」



いつの間にか莉奈は助手席に座っていて、そこの窓を開けて手を振っている。

え、本当に2人は送るだけなの?



「2人共、サンキューな。
でも直輝、和奏を泣かすのは余計」


「あ、バレてた?だけど、何も言っていない怜央も悪いから」


「あー、そういうこと。分かった」



何かに納得した怜央は、八塚くんたちに手を振ったあと、私の繋いだままの手を引き、ホテルの中へ入って行った。

周りに挨拶をされながら、エレベーターに乗り込み上に行く。


ここは、覚えがある。

怜央に告白されたあのホテル。

つまり、怜央のお父さんがオーナーをしているホテルだ。


ここへ来るのはあの時以来。

いつでも来ていいよとは言われていたけど、なかなか来る機会がなかった。

怜央と外食する時だって、ここに来ることはなかった。




< 600 / 620 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop