永遠(とわ)に果てぬ愛



そのあと、テーブルに置かれた小さな箱からモノを取り出して薬指にはめてくれた。

それは、小さなピンクダイヤがついた指輪だった。



「で、早速だけどコレ、書いて」



そう言って、箱の隣に置いてあった紙を広げる。



「本当に、指輪とセットなんだ」



告白された時のことを思い出して、つい笑ってしまった。

2年前に約束した通り、指輪とセットで置いてあったのは婚姻届だった。



「提出は、和奏の誕生日にしようと思う。けど、オレが安心出来ないから書いて」



よく見れば、あとは私が書くだけになっている。

用意がいいなぁ、なんて感心してみる。



「あと……わりぃけど、式もほとんど決まっている」


「え?あ、まぁ、社長の息子だし、そうかなとは思ったけど」


「イヤ、社長の息子とか関係ねぇ。母さんがめっちゃ張り切っているから」


「あー、なるほど」



2年前、付き合った時もまだ結婚しないのかと散々言われた。

なかなか納得してくれなかった経緯があるから仕方がないか。



「えっと……これでいいのかな」



たった名前を書くだけのことなのに、凄く手が震えた。

字が少し歪んでいるようにも見える。




< 604 / 620 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop