永遠(とわ)に果てぬ愛
仕事中にもかかわらず、下の名前で呼んだことが引っ掛かった。
だけど、お父さんと同じように笑う佐々木さんを拒否は出来ない。
何があるか分からないけど、ついて行くしかないみたいだ。
「水城さん?どうしたの?」
私の異変に気付いた先輩が声をかけてきた。
「何でもないです。ちょっと、抜けますね」
心配かけないように笑って答える。
そのあと、佐々木さんについてその場から離れた。
『実は、役員のほとんどは知っています。ただ、息子の意向で今まで黙っていました。ですが、最近大きな決断をしたので、これを機に公表します』
社長がそう言ったかと思うと、社長の隣に怜央が立った。
その瞬間、会場全体がざわついた。
おそらくみんな、ここにいる人だとは思っていなかったと思う。
まして、今はまだ役職もない人だ。
想像にはなかった人だろう。
『紹介しましょう。私の実の息子である天羽怜央です。
ちなみに、清水とは妻の旧姓です』
また、周りがざわつく。
一般社員の中には、青ざめている人もいた。
それは、そうだろうな。
でも、これで急に手のひらを返すのだろう。
それも嫌だなぁと思った。