永遠(とわ)に果てぬ愛



『ああ、そうだ。怜央には、今の部署の部長についてもらいます』


「は?何をいきなり……」


『今いる部長が支社へ転勤になるから』



怜央も聞いていない話しだったみたいで、戸惑っている。



『とりあえず怜央、挨拶しなさい』



社長に促されたものの、戸惑いは続いている。

女性秘書にも促されて、ようやく社長からマイクを受け取る。



『ただいまご紹介にあずかりました清水改め、天羽怜央です。
まだまだ未熟で現在の部長の足元にも及ばないと思いますが、みなさんの信頼を得られるよう頑張ります。よろしくお願いします』



戸惑いながらもしっかりと挨拶をする怜央はさすがだなと思う。

普通の人は、急にあんな言葉は出て来ないと思う。

少なくとも、私は無理だ。

やっぱり、社長の息子なんだなと実感する。



『一般社員については、少し怜央を見くびっているようで。怜央の正体を知って青ざめる人も多いのでは。
ただ、もう一つ重大発表をしましょう』



なんだか、社長の言葉に棘がある。

表情だけはにこやかだから、余計に怖い。


そんなことを思っていると、急に佐々木さんに腕を引っ張られた。

そして、気づけば怜央の隣に立たされていた。




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