永遠(とわ)に果てぬ愛



「水城和奏と言います」



電話をすると、ぶっきらぼうな声がした。

それに対して私が名乗ると、一瞬止まった。



『咲希子の娘か?』



咲希子とは、お母さんの名前だった。

どうやら、私たちのことを知ってはいるらしい。



『今更、何の用だ?』



めんどくさそうに、冷たく言い放つ。


そういう態度を取られるのは、覚悟の上だった。

だから、心が痛むことはない。



「3日前に父が、昨日母が亡くなりました」



そんな態度に、私も感情を表に出さずに言った。

こんな人たちだから、娘が亡くなっても何も思わないかもしれない。


そう思っていたのに、どうやら人並みの感情は持っているらしい。




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