永遠(とわ)に果てぬ愛
元々、男の力にかなう訳がないのだけど、本気で嫌ならもがけばいい。
唇だって、噛んでしまえばいい。
なのに、なぜしなかったのだろう。
好きな人がいるのに、自分が分からない。
「……ちょっと、和奏?」
「えっ、何?」
「何じゃないよ。
さっきから呼んでいるのに」
登校中、どうやら何度も莉奈に呼ばれたのに、ボーッとしていたらしい。
「何かあったの?」
後ろを歩く怜央をちらっと見てから、莉奈は言う。
「え、別に、何もないよ」
思った以上に、考え込んでしまっているらしい。
そんなに考え込んではダメだ。
怜央は、たぶん鋭い。
すぐに、見抜かれてしまうおそれがある。