婚恋

1年半ぶりの再会

なんで？
それ意外の言葉が見つからなかった。
松田君と入った居酒屋にいたのは…陸だった。

正確に言えば、陸とかわいい女のこだった。
なんで？なんで？
その言葉ばかりが頭の中をぐるぐると追いかける。
私は思いっきり松田君を睨んだ。
だが、松田君は目線を合わそうとせず
「話は後でじっくり聞くから・・・」
まるで引っ張られるように私を陸たちの元へ連れてった。

「おー。遅いぞ！松・・・田・・・春姫！」
それは1年半ぶりの再会だった。
なんて挨拶しようか悩んでると。
「ごめんごめん。彼女、さっきまで仕事してたのを無理やり連れてきたんだ。
な？春姫。」
急に松田君が彼氏モードに入るもんだから驚いてしまった。
私はただ作り笑いでしか返せなかった。
「元気そうだな・・・」
「そっちも・・・」
一年半ぶりの会話はそっけないものだった。
「ねぇ？陸君のお知り合いなの？」
かわいい人が陸に私の事を聞こうとしてる。
相手によっては噛みつく勢いを持っていそうな・・・そんな感じがした。
「俺のバンド仲間。」
同級生とか、友達とか全部とっぱらって単なるバンド仲間ね・・・
しかも活動停止中だし・・・
「へ～～やっぱり陸君ってバンドやってたのね。百恵も陸君の
演奏みたいな～～」
かわいい女の子は百恵と言うらしい。
しかし百恵って子とは私は絶対合わないと思う。
こんなデレデレの会話に松田君だけを投入するのは
やぱりきついね。

私の態度が顔に思いっきり出ていたのか
松田君がフォローに入る。
「え～～。とりあえずさ。座って話しようよ」
｢あっ・・そうだよね」
慌ててイスに座ると松田君がボタンを押して店員を呼んだ。
店員に飲みものをオーダーすると
松田君が自己紹介をはじめた。
「彼女内田春姫って言って・・・俺たちのバンドでベースやってて・・
俺の彼女」
物凄い事を松田君は言った。彼女役だとは聞いていたが
まさか陸たちに彼女だなんて言うと思わなかったからだ。


一応ふりをしてと言われてたから仕方なくあいさつをした。
「春姫です。よろしく」
否定も肯定もせず・・・・
陸は一瞬驚いていた様だがすぐに
百恵さんを自分の彼女だと紹介した。

その後私はほとんど陸や百恵さんとは喋らず
松田君と話をするか食べていた。
だって陸は彼女との会話を楽しんでいる様だし
私とは会話をしたいと思わなかったんじゃないかな。

1時間半くらいで私たちは店を出た。
百恵さんはいい感じに酔っていて陸の腕にしがみついていた。
「俺・・百恵を送っていくから。またな・・・」
明らかに私にではなく松田君にだ。
なんでそこまで私を避けるのかわけがわからない。
「あ～。陸・・あのな・・・春姫とは」
「帰ろうよ。早く」
彼女じゃないと言おうとした松田君の言葉を私はかき消すかのように
松田君の腕を掴んだ。
「春姫・・・」
松田君は何か言いたげだったが陸にじゃあ・・といって
私たちは陸よりも先に回れ右をした。