婚恋
勘違いしちゃうよ。
どこの海だかよくわからない。
人もいない海辺には私と陸の2人だけだ。
海の向こうには大きな夕日が空を朱色に染めていた。
こんな夕日を見たのは久しぶりだ。
いつも店の中と時々店先に出る程度で
こんなにゆっくりと夕日が沈む様子を見る事なんてなかった。
ただ、陸と一緒っていうのが・・・・
うれしいのだけれど
陸がデートだなんていうから妙に意識してしまっていた。
「たまにはさ・・・こうやって何も考えずに景色の変わる様子を
見るのもいいだろ?」
夕日が眩しいのか少し目を細める陸の姿を半歩後ろで見ていた。
「陸はよくここに来るの?」
陸は振り返りながら「まあね・・・」と答えると
手招きをしながら腰を下ろした。
私もそれに続く様に腰を下ろすが
バッグ1つ分の2人の隙間が今の関係を表している様だった。
どのくらい景色を見ていただろう。
「なあ・・・」
「ん?」
「ごめんな・・・」
「え?」
「お前、最近俺と目を合わせてくれなくなっただろう・・・・
やっぱり・・・こんなお願い普通に考えたら・・・おかしいよな・・」
陸の横顔は夕日のせいなのかはわからないがとても寂しそうに見えた。
でも違うの。
目を合わせられなくなったのは嫌いだからじゃなく。
好きすぎてどう接したらいいのかわからなくなっているから・・・
だって、これって完全に片思い。
陸は私の事なんか何とも思っちゃいないことはわかってるし・・・
昔からそうだ、陸は時々こっちが勘違いしてしまう様な
表情や言葉を投げかける。
友達だった時は軽く聞き流せたけど
今はその一言一言に私だけが極度に反応しまう。
悔しい・・・悔しいけど・・・好きだから
仕方がないよね。
「・・・何言ってんのよ。どうせこんな役やれるの私しかいなかったんでしょ?
目を合わせないのは・・・・照れよ・・照れ・・そんなことくらい察してよ」
あーー。私ってつくづく可愛くない女だ。
もっと他に言い方あったはずなのにな・・・
恥ずかしくてとか・・・照れちゃってってかわいく言えないのよ。
「そうだよな。俺にはお前しかいないからな・・・・」
まるで愛の告白でもされている様な錯覚に思わず顔を上げ
陸の顔を見たが夕日が反射してよく見えない。
でも口元だけはとても優しそうにほほ笑んでいる様に見えて
私の胸がぎゅーっと強く締め付けられた。
ゆっくりと夕日が沈み、空に一際輝く星が薄ら見え始めた。
「・・・・腹減ったな・・」
陸はゆっくり立ち上がるとお尻についた砂を両手で払い
手を差し出してきた。
私はその手を取りぐっと力を入れて立ちあがった。
お尻の砂を払おうと陸の手を話そうとするが
離してくれくれない。
「陸・・・私も砂払うから・・手ー」
離してと言おうとしたが手を離すどころか
寄り強く握りしめグイッと抱き寄せられた。
「り・・りく?・・・ちょっと・・・」
「腹減った」
「・・・わかったから・・・ご飯どこかで食べよう?でも
・・この体勢はどうかと思う」
「・・・・俺が欲しいのは…こっちなんだけど?」
目の前が一瞬暗くなったかと思うと陸に唇を塞がれた。
驚いて足踏みするが「バタバタしないの。俺食事中だから」
と言うと再び唇が塞がれ何も言い返させてもくれなかった。
陸がどんな思いで私にキスしたかなんてわからない。
もしかしたらこれからの1週間を乗りきろうと気合い入れにしたものかも
しれないし・・・
ただこの時のキスもとても甘く優しく
時間が許す限りこうしていたいと思ってしまう程のキスだった。
こんなキスしたら本気で勘違いしちゃうよ!
だってそこに愛情があるのはきっと
私だけなんだから・・・・
翌日、店先で鉢花の手入れをしている時だった。
「春姫!」
振り向くと、そこには何か言いたげな松田君の姿があった。
「あっ。松田君おはよう~~。・・・ってあれ?今日私服だね。
何かあった?」
私の呑気そうな顔に松田君は一瞬眉間にしわを寄せながら
「・・・・聞いたよ。…陸から」
その顔は少し怒っている様だった。
人もいない海辺には私と陸の2人だけだ。
海の向こうには大きな夕日が空を朱色に染めていた。
こんな夕日を見たのは久しぶりだ。
いつも店の中と時々店先に出る程度で
こんなにゆっくりと夕日が沈む様子を見る事なんてなかった。
ただ、陸と一緒っていうのが・・・・
うれしいのだけれど
陸がデートだなんていうから妙に意識してしまっていた。
「たまにはさ・・・こうやって何も考えずに景色の変わる様子を
見るのもいいだろ?」
夕日が眩しいのか少し目を細める陸の姿を半歩後ろで見ていた。
「陸はよくここに来るの?」
陸は振り返りながら「まあね・・・」と答えると
手招きをしながら腰を下ろした。
私もそれに続く様に腰を下ろすが
バッグ1つ分の2人の隙間が今の関係を表している様だった。
どのくらい景色を見ていただろう。
「なあ・・・」
「ん?」
「ごめんな・・・」
「え?」
「お前、最近俺と目を合わせてくれなくなっただろう・・・・
やっぱり・・・こんなお願い普通に考えたら・・・おかしいよな・・」
陸の横顔は夕日のせいなのかはわからないがとても寂しそうに見えた。
でも違うの。
目を合わせられなくなったのは嫌いだからじゃなく。
好きすぎてどう接したらいいのかわからなくなっているから・・・
だって、これって完全に片思い。
陸は私の事なんか何とも思っちゃいないことはわかってるし・・・
昔からそうだ、陸は時々こっちが勘違いしてしまう様な
表情や言葉を投げかける。
友達だった時は軽く聞き流せたけど
今はその一言一言に私だけが極度に反応しまう。
悔しい・・・悔しいけど・・・好きだから
仕方がないよね。
「・・・何言ってんのよ。どうせこんな役やれるの私しかいなかったんでしょ?
目を合わせないのは・・・・照れよ・・照れ・・そんなことくらい察してよ」
あーー。私ってつくづく可愛くない女だ。
もっと他に言い方あったはずなのにな・・・
恥ずかしくてとか・・・照れちゃってってかわいく言えないのよ。
「そうだよな。俺にはお前しかいないからな・・・・」
まるで愛の告白でもされている様な錯覚に思わず顔を上げ
陸の顔を見たが夕日が反射してよく見えない。
でも口元だけはとても優しそうにほほ笑んでいる様に見えて
私の胸がぎゅーっと強く締め付けられた。
ゆっくりと夕日が沈み、空に一際輝く星が薄ら見え始めた。
「・・・・腹減ったな・・」
陸はゆっくり立ち上がるとお尻についた砂を両手で払い
手を差し出してきた。
私はその手を取りぐっと力を入れて立ちあがった。
お尻の砂を払おうと陸の手を話そうとするが
離してくれくれない。
「陸・・・私も砂払うから・・手ー」
離してと言おうとしたが手を離すどころか
寄り強く握りしめグイッと抱き寄せられた。
「り・・りく?・・・ちょっと・・・」
「腹減った」
「・・・わかったから・・・ご飯どこかで食べよう?でも
・・この体勢はどうかと思う」
「・・・・俺が欲しいのは…こっちなんだけど?」
目の前が一瞬暗くなったかと思うと陸に唇を塞がれた。
驚いて足踏みするが「バタバタしないの。俺食事中だから」
と言うと再び唇が塞がれ何も言い返させてもくれなかった。
陸がどんな思いで私にキスしたかなんてわからない。
もしかしたらこれからの1週間を乗りきろうと気合い入れにしたものかも
しれないし・・・
ただこの時のキスもとても甘く優しく
時間が許す限りこうしていたいと思ってしまう程のキスだった。
こんなキスしたら本気で勘違いしちゃうよ!
だってそこに愛情があるのはきっと
私だけなんだから・・・・
翌日、店先で鉢花の手入れをしている時だった。
「春姫!」
振り向くと、そこには何か言いたげな松田君の姿があった。
「あっ。松田君おはよう~~。・・・ってあれ?今日私服だね。
何かあった?」
私の呑気そうな顔に松田君は一瞬眉間にしわを寄せながら
「・・・・聞いたよ。…陸から」
その顔は少し怒っている様だった。