婚恋
初めての2ショット
「すみません。写真撮ってもらえませんか?」
50代くらいのご夫婦に写真を撮ってほしいとお願いされた陸は
いいですよ。と笑顔で答えた。
季節の花で埋め尽くされた花壇の前で二人並んで立っている写真を
撮った。
その後ろで私はその夫婦と自分を重ねてみていた。
とても仲のよさそうなご夫婦で旦那さんは奥さんの腰に手を回すのだけれど
その一つ一つの動作は自然で奥さんの事を大切にしているのが伝わってきた。
私にはこんな未来はあるのだろうか・・・
たった1週間だけの奥さんに自分の20年後は
想像できなかった。
出来る事なら今隣にいる陸と、このご夫婦の様になりたい。
それができないのならせめて
夢だけでも見たい・・・そう思いながら私は2人を見ていた。
「春姫」
「・・ん?」
呼ばれていたことに気付かず慌てて返事をすると
「俺達も撮ってもらおう」
・・そうだった。すっかり忘れていた・・・
陸は私の手を掴むとさっきご夫婦が立ってた場所まで移動した。
「素敵なカップルね。」
奥さんが私たちに笑顔で声を掛けてくれる。
「ありがとうございます」
陸は慣れた様子で返事をするが
私はそれどころじゃない。
陸はさっきのご夫婦がしていたように私の腰に手をまわしてきたからだ。
「陸・・・はずかしいよ・・・」
小声で文句を言うが陸は笑顔を崩さず
「いいからいいから笑顔で・・ね。」
すると御主人からも
似たような事を言われ顔が真っ赤になる。
「何だか私たちの若い頃を思い出すわね・・・ね。お父さん」
御主人は奥さんをみると笑顔を見せ、再びデジカメに視線を移した
違うんです。
私たちはあなた方が思っている様なそんな恋愛をしているんじゃないんです。
全て偽り。
どんなに彼の事を思っていても・・・・その思いを伝えるつもりもないし
勇気もない。
すこしだけ夢を見ているだけなの・・・
この写真だって・・・・
「春姫・・・笑って・・・俺のために・・・」
陸の顔を見たらとてもやさしい眼差しで私を見た。
どうしよう・・・泣きそうだよ。
「ハイ撮れたよ。」
ご主人の声でハッとした。
陸は私から離れるとご主人の方へと駆け寄った。
「・・・あっ!いいですね」
「彼女の笑顔も素敵だし、君の彼女への思いが写真に出ているね」
「わかります?」
陸は少しおどけて見せた。
「私なんか久しぶりにドキドキしたわ。いいわね~~。
あなた達・・・本当に思い合っているのね・・・お兄さん。
彼女の事大事にしなきゃだめよ」
「はい」
その声は迷いがない様に聞こえた。
すると御主人が私に近づいてきた。
「写真ありがとうございました」
慌てて頭を下げた。
「お嬢さん。彼はあなたの事をとても大切にしてるよ。」
「え?」
「後で写真を見せてもらうといい。僕は素人だけど
君たち二人の表情は素晴らしかった。・・・けど」
「・・・・・」
「そんな今にも泣きそうな顔をしてちゃだめだ。彼は君の事を
愛してる。もっと自信を持ちなさい。そして彼を手放しちゃ
ダメだよ。なんだか君たち見ていたら昔の自分を思い出してね・・・」
「え?昔の自分?」
「そう・・・だけどその話はまた今度、もしここでまた会えたら
教えてあげるよ。・・・・じゃあ」
御主人は奥さんの元へ行くと陸に挨拶をしてその場を立ち去った。
私はその場から動けずにいた。
ご主人の言っていた彼を手放しちゃいけない。
私がそう思っても陸の方が去っていく・・・
そしてあのご夫婦の過去も知りたかった。
でも・・・もう会うことはないのだろう・・・
「は~~るひ」
陸に呼ばれて振り返ると陸はとてもうれしそうな顔をしていた。
「どうしたの?そんなニコニコしちゃって」
すると陸はデジカメを差し出した。
「これ最高にいい写真だよ。これならいけそうだよ。」
そう言って差し出された写真を見て目を見開いた。
そこに写っている陸はとても大切なものを見るよう目をしていて
私は少し目を潤ませて陸を見つめている写真だった。
胸の奥がドキドキした。
偶然が重なってこんな写真が撮れたのだと思うが
それでもこの写真は・・・・素敵だった。
でも・・・・・
「どうして私たちのアップなのよ!背景ないじゃん!」
何を考えてこのアングルなのか・・・あの夫婦は
でもやたら気に入った様子の陸を見てたら
自然と笑みがこぼれた。
あともう少しだけ夢見させてもらおう・・・・
50代くらいのご夫婦に写真を撮ってほしいとお願いされた陸は
いいですよ。と笑顔で答えた。
季節の花で埋め尽くされた花壇の前で二人並んで立っている写真を
撮った。
その後ろで私はその夫婦と自分を重ねてみていた。
とても仲のよさそうなご夫婦で旦那さんは奥さんの腰に手を回すのだけれど
その一つ一つの動作は自然で奥さんの事を大切にしているのが伝わってきた。
私にはこんな未来はあるのだろうか・・・
たった1週間だけの奥さんに自分の20年後は
想像できなかった。
出来る事なら今隣にいる陸と、このご夫婦の様になりたい。
それができないのならせめて
夢だけでも見たい・・・そう思いながら私は2人を見ていた。
「春姫」
「・・ん?」
呼ばれていたことに気付かず慌てて返事をすると
「俺達も撮ってもらおう」
・・そうだった。すっかり忘れていた・・・
陸は私の手を掴むとさっきご夫婦が立ってた場所まで移動した。
「素敵なカップルね。」
奥さんが私たちに笑顔で声を掛けてくれる。
「ありがとうございます」
陸は慣れた様子で返事をするが
私はそれどころじゃない。
陸はさっきのご夫婦がしていたように私の腰に手をまわしてきたからだ。
「陸・・・はずかしいよ・・・」
小声で文句を言うが陸は笑顔を崩さず
「いいからいいから笑顔で・・ね。」
すると御主人からも
似たような事を言われ顔が真っ赤になる。
「何だか私たちの若い頃を思い出すわね・・・ね。お父さん」
御主人は奥さんをみると笑顔を見せ、再びデジカメに視線を移した
違うんです。
私たちはあなた方が思っている様なそんな恋愛をしているんじゃないんです。
全て偽り。
どんなに彼の事を思っていても・・・・その思いを伝えるつもりもないし
勇気もない。
すこしだけ夢を見ているだけなの・・・
この写真だって・・・・
「春姫・・・笑って・・・俺のために・・・」
陸の顔を見たらとてもやさしい眼差しで私を見た。
どうしよう・・・泣きそうだよ。
「ハイ撮れたよ。」
ご主人の声でハッとした。
陸は私から離れるとご主人の方へと駆け寄った。
「・・・あっ!いいですね」
「彼女の笑顔も素敵だし、君の彼女への思いが写真に出ているね」
「わかります?」
陸は少しおどけて見せた。
「私なんか久しぶりにドキドキしたわ。いいわね~~。
あなた達・・・本当に思い合っているのね・・・お兄さん。
彼女の事大事にしなきゃだめよ」
「はい」
その声は迷いがない様に聞こえた。
すると御主人が私に近づいてきた。
「写真ありがとうございました」
慌てて頭を下げた。
「お嬢さん。彼はあなたの事をとても大切にしてるよ。」
「え?」
「後で写真を見せてもらうといい。僕は素人だけど
君たち二人の表情は素晴らしかった。・・・けど」
「・・・・・」
「そんな今にも泣きそうな顔をしてちゃだめだ。彼は君の事を
愛してる。もっと自信を持ちなさい。そして彼を手放しちゃ
ダメだよ。なんだか君たち見ていたら昔の自分を思い出してね・・・」
「え?昔の自分?」
「そう・・・だけどその話はまた今度、もしここでまた会えたら
教えてあげるよ。・・・・じゃあ」
御主人は奥さんの元へ行くと陸に挨拶をしてその場を立ち去った。
私はその場から動けずにいた。
ご主人の言っていた彼を手放しちゃいけない。
私がそう思っても陸の方が去っていく・・・
そしてあのご夫婦の過去も知りたかった。
でも・・・もう会うことはないのだろう・・・
「は~~るひ」
陸に呼ばれて振り返ると陸はとてもうれしそうな顔をしていた。
「どうしたの?そんなニコニコしちゃって」
すると陸はデジカメを差し出した。
「これ最高にいい写真だよ。これならいけそうだよ。」
そう言って差し出された写真を見て目を見開いた。
そこに写っている陸はとても大切なものを見るよう目をしていて
私は少し目を潤ませて陸を見つめている写真だった。
胸の奥がドキドキした。
偶然が重なってこんな写真が撮れたのだと思うが
それでもこの写真は・・・・素敵だった。
でも・・・・・
「どうして私たちのアップなのよ!背景ないじゃん!」
何を考えてこのアングルなのか・・・あの夫婦は
でもやたら気に入った様子の陸を見てたら
自然と笑みがこぼれた。
あともう少しだけ夢見させてもらおう・・・・