婚恋
言えない本音
「1・・2・・・3枚か~~」
1日でいろんなところに行って、とにかく写真を撮った。
3枚目くらいになるとなんだか慣れてきて
自然な表情が作れるようになった。
即席の思い出写真。
そこに本当の思い出などない・・・・
これから先、今日撮った写真は自分の中でどんな思い出として
残るのだろうか・・・・
車の中で陸は今日撮った写真をずっと見ていた。
きっと披露宴で使う写真の構成とか考えてるんだろうな・・・
「でも・・・やっぱりこれが一番いいな・・・」
そう言って私に差し出したデジカメに写った写真は
最初に撮ってもらったものだ。
思った以上にアップで撮られていたので
あまりマジマジと見ていなかった。
差し出されたデジカメを手に取ると陸は身体をぐっと私に近づけて
写真を指さした。
「この春姫の顔・・・なんか色っぽいんだよね。目が潤んでて・・・
ねぇ・・・何を考えていた?」
「え?」
「単にドキドキしたとかって顔じゃなかったよな・・・
何かを考え・・・そして目を潤ませた・・・そうでしょ?」
息がかかるほどの近さで問いかけられ、私は視線を泳がせた。
言えるわけないじゃない。
「・・・・・意味なんかないよ。眠たかっただけ・・・」
自分でも情けないくらいのこじつけた理由を
陸は信じるはずもなく
「へ~~眠くてあんな色っぽ顔が出来んならずっとあんな顔してろよ。
俺が襲ってやるからさ!」
「えええ!ちょっと何言ってんのさ。冗談やめてよ。」
「お前が冗談みたいな理由を言うからだろ?本当は?・・・・」
なんでそんなにしつこく聞くのか理解できなかった。
単なる好奇心?それともおちょくってるの?
私は苛立ち気に質問を質問で返した。
「なんでそんな事陸に言われなきゃいけないの?だったら何で
陸はこんな優しい顔すんのよ!誰を思ってこんな優しい顔してるのよ」
言った後に後悔した。
こんな言い方じゃまるで私以外の人を思っていたんでしょって言っている様な
もんだ。
今の言葉を取り消したい
「ごめん!今のはー」
言葉のあやで・・と言おうとしたが陸の言葉に遮られた。
「お前意外誰がいるって言うんだよ!・・・・」
だが陸も言った直後にハッとした顔をした
「だから・・その・・・これは披露宴でみんなが見る写真だからさ・・」
バツの悪そうな言葉に胸の奥に痛みを感じた。
でもそんな自分を知られたくなかった。
だから・・・
「・・・・私も同じ気持ちよ。一応陸のお嫁さんの百恵さんなんだから
それらしくしなきゃって思った・・・演技よ。演技」
帰りたい。
きっと今の私は本当に泣きそうな顔をしているから・・・・
陸は私ではなく結婚式が無事に終わる事だけしか考えていない。
・・・・自分の立場を忘れてしまうとこだった。
「春姫・・・」
あれから音のない時間が無駄に過ぎていった。
車から聞こえるラジオの音すら耳に入ってこなかった。
昼間出会った中年の夫婦が言った言葉が頭の中をぐるぐる
駆け巡っていた。
彼は君の事を愛してる。
確かにあの写真にはそう写ったのかもしれない。
でもそれは私に向けられたものではない事・・・
手放しちゃいけないと言われたけど・・・
私が手放されるんだ・・・
「春姫」
手放される・・・・
本当は嫌・・
でもどうせ手放されるくらいなら・・・少しだけ欲張って
「は~る~ひ~」
「え?」
「何回呼べば返事してくれるのかと思ったよ」
名前を呼ばれていたなんて知らなかった。
「ごめん・・何?」
「さっきの事だけど・・・」
車が大きな公園の駐車場に止まった。
さっき?何の事かわからず首をかしげると
「その・・写真の・・・事」
「・・・うん?あれがどうしたの?撮り直しでもするの?」
そとはすっかり暗くなったけど撮り直し暗い出来るだろう。
私は車を降りようとドアに手をかけた
「違う!」陸の大きな声に私の身体がビクッとなった。
「あ~~。ごめん・・・あの時さー本当に春姫の事だけを思っていた。
決して披露宴用だからとかじゃなく・・・春姫を見てたらー」
陸の顔が一気に近づき息がかかる距離まで近づいてきた。
「え?・・あっ・・なに?・・私を見たらなんなの?」
その顔はあの写真と同じ顔だった。
とても愛おしいものを見るような眼差しで私を見つめる
その瞳に陸ヘの感情が一気に込み上げてくる。
苦しい・・・
そんな目で見ないで・・・
また泣きたくなるじゃない。
私は溢れる感情を押し殺すように「やめて」と言おうとした。
だがその言葉は陸の唇で塞がれた。
そして唇がほんの少し離れた時陸の口から出た言葉は
「キス・・したくなったんだ」
1日でいろんなところに行って、とにかく写真を撮った。
3枚目くらいになるとなんだか慣れてきて
自然な表情が作れるようになった。
即席の思い出写真。
そこに本当の思い出などない・・・・
これから先、今日撮った写真は自分の中でどんな思い出として
残るのだろうか・・・・
車の中で陸は今日撮った写真をずっと見ていた。
きっと披露宴で使う写真の構成とか考えてるんだろうな・・・
「でも・・・やっぱりこれが一番いいな・・・」
そう言って私に差し出したデジカメに写った写真は
最初に撮ってもらったものだ。
思った以上にアップで撮られていたので
あまりマジマジと見ていなかった。
差し出されたデジカメを手に取ると陸は身体をぐっと私に近づけて
写真を指さした。
「この春姫の顔・・・なんか色っぽいんだよね。目が潤んでて・・・
ねぇ・・・何を考えていた?」
「え?」
「単にドキドキしたとかって顔じゃなかったよな・・・
何かを考え・・・そして目を潤ませた・・・そうでしょ?」
息がかかるほどの近さで問いかけられ、私は視線を泳がせた。
言えるわけないじゃない。
「・・・・・意味なんかないよ。眠たかっただけ・・・」
自分でも情けないくらいのこじつけた理由を
陸は信じるはずもなく
「へ~~眠くてあんな色っぽ顔が出来んならずっとあんな顔してろよ。
俺が襲ってやるからさ!」
「えええ!ちょっと何言ってんのさ。冗談やめてよ。」
「お前が冗談みたいな理由を言うからだろ?本当は?・・・・」
なんでそんなにしつこく聞くのか理解できなかった。
単なる好奇心?それともおちょくってるの?
私は苛立ち気に質問を質問で返した。
「なんでそんな事陸に言われなきゃいけないの?だったら何で
陸はこんな優しい顔すんのよ!誰を思ってこんな優しい顔してるのよ」
言った後に後悔した。
こんな言い方じゃまるで私以外の人を思っていたんでしょって言っている様な
もんだ。
今の言葉を取り消したい
「ごめん!今のはー」
言葉のあやで・・と言おうとしたが陸の言葉に遮られた。
「お前意外誰がいるって言うんだよ!・・・・」
だが陸も言った直後にハッとした顔をした
「だから・・その・・・これは披露宴でみんなが見る写真だからさ・・」
バツの悪そうな言葉に胸の奥に痛みを感じた。
でもそんな自分を知られたくなかった。
だから・・・
「・・・・私も同じ気持ちよ。一応陸のお嫁さんの百恵さんなんだから
それらしくしなきゃって思った・・・演技よ。演技」
帰りたい。
きっと今の私は本当に泣きそうな顔をしているから・・・・
陸は私ではなく結婚式が無事に終わる事だけしか考えていない。
・・・・自分の立場を忘れてしまうとこだった。
「春姫・・・」
あれから音のない時間が無駄に過ぎていった。
車から聞こえるラジオの音すら耳に入ってこなかった。
昼間出会った中年の夫婦が言った言葉が頭の中をぐるぐる
駆け巡っていた。
彼は君の事を愛してる。
確かにあの写真にはそう写ったのかもしれない。
でもそれは私に向けられたものではない事・・・
手放しちゃいけないと言われたけど・・・
私が手放されるんだ・・・
「春姫」
手放される・・・・
本当は嫌・・
でもどうせ手放されるくらいなら・・・少しだけ欲張って
「は~る~ひ~」
「え?」
「何回呼べば返事してくれるのかと思ったよ」
名前を呼ばれていたなんて知らなかった。
「ごめん・・何?」
「さっきの事だけど・・・」
車が大きな公園の駐車場に止まった。
さっき?何の事かわからず首をかしげると
「その・・写真の・・・事」
「・・・うん?あれがどうしたの?撮り直しでもするの?」
そとはすっかり暗くなったけど撮り直し暗い出来るだろう。
私は車を降りようとドアに手をかけた
「違う!」陸の大きな声に私の身体がビクッとなった。
「あ~~。ごめん・・・あの時さー本当に春姫の事だけを思っていた。
決して披露宴用だからとかじゃなく・・・春姫を見てたらー」
陸の顔が一気に近づき息がかかる距離まで近づいてきた。
「え?・・あっ・・なに?・・私を見たらなんなの?」
その顔はあの写真と同じ顔だった。
とても愛おしいものを見るような眼差しで私を見つめる
その瞳に陸ヘの感情が一気に込み上げてくる。
苦しい・・・
そんな目で見ないで・・・
また泣きたくなるじゃない。
私は溢れる感情を押し殺すように「やめて」と言おうとした。
だがその言葉は陸の唇で塞がれた。
そして唇がほんの少し離れた時陸の口から出た言葉は
「キス・・したくなったんだ」