婚恋

最後のミッション？！

「お願いがあるの。」
いつものように呼び出され俺はカフェにいた。
「今度は何?・・・なんかさ・・・出尽くした感あるんだよね。
俺さ～もう春姫とこのまま友達関係でもいいと思う。
愛情ってさ・・・冷めるけど友情はきえないよな・・・」

ここ最近俺が百恵とイチャイチャしたふりしても視線すら
合わそうとしない・・・・完全に気がないんだよな。
無関心なんだろうな・・・・
だったら前の様に友達関係に・・・なんて思っていたら
百恵が俺の頭をメニュー表で叩きやがった。
「・・ってーな！何だよいきなり叩きがって」
百恵は眉間に縦線を入れながら上目使いでふざけんなと渇を入れてきた。
本当に怖い・・・
「何弱気になってんのよ。私があんたのためにどれだけ頑張ってるか
わかってんの？好きでもないのにべたべたしたり、かわいい声出したり・・・
それもこれもあんたが春姫ちゃんとうまくいくようにでしょ？！」
「いや・・おれも相当百恵のために努力してますが・・・・」
そう、俺はかなり頑張っていた。
なんか最近は有村さんからの痛い視線も無視できるくらい
強くなったとさえ感じる。
あんだけ俺に敵意むき出しなんだから絶対百恵の事が好きなんだろうけど
なんでこのままの状態をキープしているのか正直不思議だった。

百恵は前髪を掻きあげるとフッと笑った。
「・・・今回でケリつけようと思うの」
「え？ケリつけるって・・・諦めるのか？！」
百恵は余裕たっぷりの顔で俺にばーかと言ってコーヒーを飲んだ。
こいつとは結構長い付き合いになった。
もしかすると春姫よりも長いのではないかと思うほど
でも絶対にこの女とは恋愛には発展しない。
しなくて良かったと思う。

「ねぇ・・・結婚しない？私たち・・・」
「・・・・・」
聞き間違いでなければ今百恵は結婚しない？最後にクエスチョンマーク
をつけたよな・・・ってことは俺と百恵が結婚？
「ない・・ないない。ありえない」
咄嗟に出た言葉に百恵の顔色が変わる。
「話を最後まで聞きなさいよ・・・・私だって同じよ！
まずは結婚式場を決めて本当に結婚すると見せかける。
それから・・・私は有村さんに最後の告白をする。」
「式場決めてから告白って・・・どんなだ？」
百恵の考えている事がいまいち掴めなかった。
「陸と結婚します・・・これで有村さんの反応を見る。
　そこで本気で喜んでる場合は・・・そこでthe endよ。
ただ私の言葉に少なからず動揺が見え隠れする様なら私は
勝負にでる！」
百恵の真剣さに言葉も出なかった。
「・・・最後の告白よ」
「マジか・・・」
百恵は頷いた。
「うまくいけばいいけど・・・ダメだった場合は？」
「・・・諦めるしかないでしょ～で、私の後は陸なんだけど・・・」
俺はごくっと唾を飲み込んだ。
何だか嫌な予感がしたからだ。
そんな俺を悪魔の様な笑みを浮かべた百恵が話しだした。

「陸には春姫さんと結婚してもらうよ。」

目が点になった。