婚恋
結婚式前夜
「お疲れ様です。」
披露宴会場扉を開けるとそこには藤田さんをはじめ
春姫のご両親、そして松田と藤堂が準備を手伝っていた。
「陸!どうした?春姫ならさっき帰ったけど・・・お前いいのか?
明日式じゃ・・・」
俺は首を横に振った。
「明日はいろいろとご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」
俺は深く頭を下げた。
「陸君ありがとう。」
「え?」
頭を上げると忍さんがとてもうれしそうに俺を見た。
「娘の結婚式の装飾をするのが私たち夫婦の夢でもあったのよ。
前はそれが叶わなかったけど・・・それがちょっと変わった形になったけど
夢がかなったわ。ありがとう・・・明日は陸君にとっても
春姫にとっても長い一日になるだろうけどうまくいくように
春姫の母として応援してるから・・・春姫を本気でゲットできる様に
がんばんなさいよ!」
「はい!頑張ります」
父親の隆俊さんにも明日の事をお願いすると
「俺は黙って見てるから、思う存分がんばれ。
まーそれでだめなら春姫の事はきっぱり諦めるんだな!」
明日の式を違う意味で楽しみにしている様だった。
「陸君、いよいよ明日ね・・・」
「藤田さん」
本当にこの人には世話になった。
百恵がいなくなってからとにかく藤田さんには助けてもらった。
藤田さんは春姫から多分いろいろと話を聞いているが
俺はその事について一切触れないようにしてきた。
藤田さんに春姫が俺の事をどう思ってるか聞くのは簡単だけど
やっぱりそれは、自分で確かめるのが筋だと思った。
人に頼る部分とそうでない部分ははっきりさせないと・・・
「いろいろとありがとうございました。明日はたくさんご迷惑おかけするかと
思いますがよろしくお願いします。」
「大丈夫よ。私に任せなさい・・・」
藤田さんはそのまま作業を再開した。
そしてここへ来た本当の目的・・・・
「松田、藤堂・・・話があるんだ」
多分この2人は今までの会話の中で何かを感じ取ったのだろう。
「おーい。松田君と藤堂君今日はありがとう!ここはもうほとんど終わってるから
後は母さんと二人で片付けして帰るよ。
陸君も今日が独身最後の日だからさ・・・よかったら3人で飲みにでも行ってきたら
・・・といってもそう長くは困るけどね。」
隆俊さんの気遣いで俺ら3人は居酒屋へと移動した。
『カンパーイ』
生中を一気に飲み干す。
3人が同時に飲み干し、空になったジョッキを置いた。
すかさず生中を3つ注文した。
でもどこから話を切り出せばいいのか悩む。
松田は春姫の事が好きだったから・・・
俺のやり方はきっと松田から見れば卑怯なやり方だと言われるのも
怖かったからだ・・・・
「話したい事があるんだろ?」
なかなか話を切り出せない俺を見かねたんだろう松田がふってきた。
「ああ・・・実はー」
俺は今までの経緯を2人に話しだした。
正直こいつらの目を見て話す余裕などなく俺の目線は斜め下。
順を追って話をしていると途中から藤堂の相槌が聞こえてきた。
それで?それで?
まるでマンガのネタバレを聞くように・・・
だが松田は一言も言葉を発しなかった。
一通り話し終えると・・・
「っじゃ・・・あの百恵ちゃんって・・・偽の彼女だったの?」
「まあね・・・」
「で?百恵ちゃんはどうなった?」
「百恵は百恵の思い人とハッピーエンド」
「へ~~~って、今話した事ってもちろん春姫は知らない訳だよね」
「うん」
「結婚式ってさ~~元々陸と春姫の・・・って事に…なるんだよね」
「うん」
「でも、名前は百恵ちゃんって事だよね・・・」
まるで確認するように質問する藤堂に俺は一つ一つ答えた
「いや、それだけはちょっと違うんだよね」
「え?」
「百恵の名前で招待状を送ったのは春姫とお前達2人だけなんだ」
「ええええ!?それってどういう事?」
これにはさすがの松田も驚いている様だった。
「春姫とお前達以外の招待状には俺と春姫の名前になっているんだ。実は春姫の友達も
春姫のご両親に頼んでお願いした。ただこのことは明日までどうしても
春姫には知られたくなかったんだ。」
「陸!」
松田が俺を睨んだ。
「お前・・・それ正気なのか?」
「正気?・・・正気じゃねえかもな・・・お前にも取られたくなかったし・・・」
つい本音が出てしまった。
「お前も・・って・・え?まっちゃん・・・春姫の事好きだったの?」
松田は2杯目の生中を一気に飲むと不貞腐れながら
「おお・・・好きだったよ。ふられたけどな・・」
そういうと残りのビールを一気に飲み干し店員におかわりをした。
「振られたって・・・いつ?」
「・・・・お前から結婚が白紙になって春姫との事をきいた後だよ!」
春姫から何も聞いてなかったことに胸の奥がちくっとした。
どうして黙ってた・・・それに振ったって・・凄く気になったが
それを今聴くべきではないと思った。
腹の中は全く穏やかじゃないが・・・
「お前たちに黙っていた事は謝る。ごめん」
俺は額がテーブルに着くほど頭を下げた。
「陸・・・いいって・・もう。ここまで来たらやるっきゃないだろ?」
藤堂に肩をゆすられ頭を上げた。
松田は呆れた顔で俺を見ながらフッと笑った。
「もしかしてさ・・・この計画を聞いちゃった時点で俺らも共犯?」
藤堂も目を丸くしながらも頷いた。
松田は店員を呼ぶと生中を3つ注文した。
ビールが届くと
「しゃ~ね~な~。この恋愛バカのために共犯になりますか~。藤堂」
「本当にしゃーないなー。ま~~もし振られても俺らが慰めてやるからよ。
明日は派手にやってくれよ!」
「・・・・松田・・・藤堂」
「じゃあ!改めて陸の恋愛バカっぷりと明日の成功を祈って・・・かんぱ~~い」
『カンパーイ』
その日俺は独身最後の日(予定)を高校からのバンド仲間と過ごした。
披露宴会場扉を開けるとそこには藤田さんをはじめ
春姫のご両親、そして松田と藤堂が準備を手伝っていた。
「陸!どうした?春姫ならさっき帰ったけど・・・お前いいのか?
明日式じゃ・・・」
俺は首を横に振った。
「明日はいろいろとご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」
俺は深く頭を下げた。
「陸君ありがとう。」
「え?」
頭を上げると忍さんがとてもうれしそうに俺を見た。
「娘の結婚式の装飾をするのが私たち夫婦の夢でもあったのよ。
前はそれが叶わなかったけど・・・それがちょっと変わった形になったけど
夢がかなったわ。ありがとう・・・明日は陸君にとっても
春姫にとっても長い一日になるだろうけどうまくいくように
春姫の母として応援してるから・・・春姫を本気でゲットできる様に
がんばんなさいよ!」
「はい!頑張ります」
父親の隆俊さんにも明日の事をお願いすると
「俺は黙って見てるから、思う存分がんばれ。
まーそれでだめなら春姫の事はきっぱり諦めるんだな!」
明日の式を違う意味で楽しみにしている様だった。
「陸君、いよいよ明日ね・・・」
「藤田さん」
本当にこの人には世話になった。
百恵がいなくなってからとにかく藤田さんには助けてもらった。
藤田さんは春姫から多分いろいろと話を聞いているが
俺はその事について一切触れないようにしてきた。
藤田さんに春姫が俺の事をどう思ってるか聞くのは簡単だけど
やっぱりそれは、自分で確かめるのが筋だと思った。
人に頼る部分とそうでない部分ははっきりさせないと・・・
「いろいろとありがとうございました。明日はたくさんご迷惑おかけするかと
思いますがよろしくお願いします。」
「大丈夫よ。私に任せなさい・・・」
藤田さんはそのまま作業を再開した。
そしてここへ来た本当の目的・・・・
「松田、藤堂・・・話があるんだ」
多分この2人は今までの会話の中で何かを感じ取ったのだろう。
「おーい。松田君と藤堂君今日はありがとう!ここはもうほとんど終わってるから
後は母さんと二人で片付けして帰るよ。
陸君も今日が独身最後の日だからさ・・・よかったら3人で飲みにでも行ってきたら
・・・といってもそう長くは困るけどね。」
隆俊さんの気遣いで俺ら3人は居酒屋へと移動した。
『カンパーイ』
生中を一気に飲み干す。
3人が同時に飲み干し、空になったジョッキを置いた。
すかさず生中を3つ注文した。
でもどこから話を切り出せばいいのか悩む。
松田は春姫の事が好きだったから・・・
俺のやり方はきっと松田から見れば卑怯なやり方だと言われるのも
怖かったからだ・・・・
「話したい事があるんだろ?」
なかなか話を切り出せない俺を見かねたんだろう松田がふってきた。
「ああ・・・実はー」
俺は今までの経緯を2人に話しだした。
正直こいつらの目を見て話す余裕などなく俺の目線は斜め下。
順を追って話をしていると途中から藤堂の相槌が聞こえてきた。
それで?それで?
まるでマンガのネタバレを聞くように・・・
だが松田は一言も言葉を発しなかった。
一通り話し終えると・・・
「っじゃ・・・あの百恵ちゃんって・・・偽の彼女だったの?」
「まあね・・・」
「で?百恵ちゃんはどうなった?」
「百恵は百恵の思い人とハッピーエンド」
「へ~~~って、今話した事ってもちろん春姫は知らない訳だよね」
「うん」
「結婚式ってさ~~元々陸と春姫の・・・って事に…なるんだよね」
「うん」
「でも、名前は百恵ちゃんって事だよね・・・」
まるで確認するように質問する藤堂に俺は一つ一つ答えた
「いや、それだけはちょっと違うんだよね」
「え?」
「百恵の名前で招待状を送ったのは春姫とお前達2人だけなんだ」
「ええええ!?それってどういう事?」
これにはさすがの松田も驚いている様だった。
「春姫とお前達以外の招待状には俺と春姫の名前になっているんだ。実は春姫の友達も
春姫のご両親に頼んでお願いした。ただこのことは明日までどうしても
春姫には知られたくなかったんだ。」
「陸!」
松田が俺を睨んだ。
「お前・・・それ正気なのか?」
「正気?・・・正気じゃねえかもな・・・お前にも取られたくなかったし・・・」
つい本音が出てしまった。
「お前も・・って・・え?まっちゃん・・・春姫の事好きだったの?」
松田は2杯目の生中を一気に飲むと不貞腐れながら
「おお・・・好きだったよ。ふられたけどな・・」
そういうと残りのビールを一気に飲み干し店員におかわりをした。
「振られたって・・・いつ?」
「・・・・お前から結婚が白紙になって春姫との事をきいた後だよ!」
春姫から何も聞いてなかったことに胸の奥がちくっとした。
どうして黙ってた・・・それに振ったって・・凄く気になったが
それを今聴くべきではないと思った。
腹の中は全く穏やかじゃないが・・・
「お前たちに黙っていた事は謝る。ごめん」
俺は額がテーブルに着くほど頭を下げた。
「陸・・・いいって・・もう。ここまで来たらやるっきゃないだろ?」
藤堂に肩をゆすられ頭を上げた。
松田は呆れた顔で俺を見ながらフッと笑った。
「もしかしてさ・・・この計画を聞いちゃった時点で俺らも共犯?」
藤堂も目を丸くしながらも頷いた。
松田は店員を呼ぶと生中を3つ注文した。
ビールが届くと
「しゃ~ね~な~。この恋愛バカのために共犯になりますか~。藤堂」
「本当にしゃーないなー。ま~~もし振られても俺らが慰めてやるからよ。
明日は派手にやってくれよ!」
「・・・・松田・・・藤堂」
「じゃあ!改めて陸の恋愛バカっぷりと明日の成功を祈って・・・かんぱ~~い」
『カンパーイ』
その日俺は独身最後の日(予定)を高校からのバンド仲間と過ごした。