愛なんかないわけないから
「んっ…」
目が覚めたら真っ白な天井。
消毒液のニオイが鼻をくすぐった。
「どこ?保健室?」
あ、私倒れたのか…。
でもなんで…
「先生…。」
私は先生を呼びに行こうと立ち上がろうとした。
………だけど手に違和感を感じた。
何でかなんて見たらすぐにわかった。
というか気づかなかった自分に幻滅する。
だってそこには
「秋川…?」
私の手をしっかり握って眠る秋川がいた。
「んっ……ファー…あー………あ」
大きく伸びをした秋川と視線が重なった。
「はよ。真優。」
優しく私に微笑んだ。
「何で秋川がいるの。」
「倒れた真優を王子様のように運んだついで?笑」
自分で王子様って言うかな。普通。
でも…
「ありがと…」
お礼くらい言わなきゃ。
助けてくれたんだもん。
「おぅ!大丈夫か?」
「ん…」
「なら良かった。…じゃあー…俺は帰るな。大事にしろよ?」
秋川が立とうとした。
もう行ってしまう。
そう思ったら寂しくて、
「行かないで。」
なんて言ってた。