俺様王子様に振り回されて
そう言って、にっと総長は笑った。




「茜。お前なら大丈夫だよ。

アタシが断言する。


くよくよしてても、何も始まんねーよ?

逃げてたって、どうしようもねぇ。

認めねぇとな。


だから、立ち直れ、前向け。

な?」






私は、総長の腕の中で泣いた。



お母さんの不倫を知ってから、初めて泣くことができた。








そして、夜が明けると、その暴走族から去ったのだ。




「もう、来てはいけないよ。」






総長は、そう忠告した後、にっと勝気な笑みを見せた。





「達者でな!茜!」







皆、笑って手を振ってくれた。


泣いてくれた奴も、いた。












・・・そうして、私は、立ち直れたんだ。




暴走族―蝶月(チョウゲツ)―に支えられて。










その後。



司も、私と兄貴が支えてもらったことを話すと。





少しずつだけど、笑えるようになった。


けど、女嫌いになってしまった。今でも、それは変わらない。




お母さんとは、未だに少し気まずいときもある。

けど、前とそんなに変わらずに笑える。



――お父さんは、何も知らない。


知られたくないっていうのが、私達の本音だ。






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