俺様王子様に振り回されて
「司、はよ。」


エプロンをスルリとはずした司に笑いかけた。



司も、ほんの少し微笑して答えてくれる。


「茜ねえ、おはよ。」




うむ。


今日も、司の笑顔は破壊力がハンパないな。



再確認しつつ、イスに座り、手を合わせた。


そして、口を開いた時――






ピルルルルルルルッ




軽やかな電子音が、制服のポケットの中からした。






音の源である、携帯を取り出し、


誰からかも確認せずに、耳に押し当てた。




だって、私の携帯番号知ってるのなんて、


私の両親と

兄貴と

羽依と

羽依の両親と

三木ぐらいだ




その中の誰かからなんだから、

別に警戒する必要なんてないし。






「もしもし?」


とりあえず、そう声を発せば。





《俺だけど。》



・・・・・・・・・オレオレ詐欺か?


携帯で聞いたことのない声なんだが。




けど、私、金なんかねーのに。

詐欺グループが目ぇつけるはずないと思うんだが。







・・・・・・うーん・・・


とりあえず、名前聞いとくか。







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