俺様王子様に振り回されて
―――帰りの電車に揺られながら、私はボーっとしていた。
蘇ってきたのは、奴の声。
『気をつけろよ』
・・・心配、してくれたんだ、よな?
そう思うと、なんだか無性に嬉しくて、胸が温かくなった。
自然と頬が緩んでくる。
なんだろ、コレ・・・。
このあったかい気持ちは、一体なんなんだろう・・・。
初めての気持ちになんだかくすぐったくなった。
―――たぶん。
私は考えているうちに、ある結論に落ち着いた。
たぶん、私は奴に親しみを感じたんだ、と。
仲良くなりたいって思ったんだ、と。
私は、たぶん――
――奴と、友達になりたいんだ・・・・・・。
なんだかそう気付くと、照れくさくなった。
でも、きっとそうだ。
だってこんなにあったかいんだ。
そうに決まってる。
「・・・・・・友達に・・・なれるといいなぁ。」
流れていく風景を見ながら、ポツリと呟いた。