俺様王子様に振り回されて
耳に流れ込んできたのは・・・・・・



《あ、千春ぅ~?私よわ・た・し!》


・・・甘ったるい女の声だった。



いや、誰だよお前。


私じゃ分かんねぇって。




「誰?」


単刀直入に聞けば、女はつまらなそうに言った。



《つれないわねぇ。覚えてな~い?

リイコよぉ。りいって呼んでくれたじゃなぁい♪》



・・・・・・全く記憶にない。

おそらく、一度かなんか抱いたんだろうな。


まぁ、そんなこと俺にはよくあることだ。




「覚えがないが・・・そうなんだろーな」


《えー!ひっどぉい!でも、そーなのよぉ。

それでね?明日、もっかい抱いてくれなーい?》


「明日?いいぜ。特に用事ねぇし。」


《やったぁ。千春大好きー》


「俺も好きだぜ?りい。」


《きゃあっ!嬉しい!明日、楽しみにしててねぇ♪》


「おう。じゃあな。」


《また明日ねぇ~》



――プッ。


通話終了。




そう。



これが俺と女の関係。


俺の"好き"。




軽い軽い関係。



たまに、それが嫌だと泣く女もいるけど。


そういう奴は、放っておいた。




コレが俺だ。



だから、アイツへの"想い"は、

俺らしくないんだ。





ぼすんっとソファーにまた、倒れこみ。



俺はアイツに初めて会った時のことを思い出す。






< 44 / 172 >

この作品をシェア

pagetop