俺様王子様に振り回されて
確か・・・まだ、高2だったころの、冬。



アイツは俺の教室にやってきた。


アキに会うために。



どうやら、アキの彼女の飯田が何かを勘違いしたとか、

嵌められたとかで・・・


もの凄い形相だった。



黒いオーラを撒き散らし、

先輩であり"天然王子様"とも呼ばれているアキに、


敬語もなしに、つっかかるような対応をした。



綺麗な顔と、それに不似合いな男口調。


サバサバした男っぽいアイツの存在を、その時初めて知って。



面白そうな女だ、と、興味を引かれた。




それから、なんとなく気になっていて・・・


昨日、助けたんだ。



若くてイケメンな、数学教師から。





体が、勝手に動いていたんだ。



キスされそうなアイツを見て、嫌だと思った。





「・・・ハァ。本当、俺らしくない。」



女は遊び。

それ以外の何者でもないと、そう思ってきたのに。





アイツが、助けた後ニッと笑ったのを見て・・・


無意識に『俺のモノになれ』と言っていた。





―――あの時。



俺は、欲しいと思った。



初めて俺に向けられた笑顔を見て。



アイツが、欲しいと。






そして、その欲求は――





変わらず・・・いや、前よりもっと、だ。



もっと、強くなっている。






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