俺様王子様に振り回されて
真っ先に目に飛び込んできたのは――



あと数センチで唇と唇がつきそうな、数学教師とアイツの顔。



俺がドアを開けたっつーのに、数学教師の顔はぐんぐん近づいていっていて。






カッと血が上った。









「テメェッ・・・いい加減にしろっ!!!!!」




ガシッと数学教師の襟首を掴み、アイツから離した。





そしてそのまま、もう片方の拳で、数学教師の横っ面を殴った。


思いっきり。



数学教師は、床にへたりこんだ。






俺は荒い息を整えもせずに、アイツに近寄った。



アイツは、呆然とその場に突っ立っていたのだ。



無防備なその姿を見たら、安心して、

不覚にも力が抜けてしまった。






「ハァ・・・心配、かけんなよ・・・・・・」


そう呟き、彼女を抱きしめた。




「・・・・・・なんもされてねぇよな?」


囁くように聞けば、彼女は小さく頷いた。



「あ、あぁ・・・。」


やっと状況を読み込めたらしい彼女は、そっと付け加えた。




「おかげさまで、な。

・・・・・・ありがとう。」



今まで、彼女の親友にしか向けたことのない、

穏やかで優しい声に驚いた俺は、

思わず彼女を離した。





そして彼女の顔を見て――心臓が音を立てた。





「助けてくれて、嬉しかった。」


そう言って、はにかんだ彼女。




・・・・・・可愛い・・・。



無意識にそう思った自分に、俺は驚いた。






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