俺様王子様に振り回されて
「辛くないのか?」



自分だけではないのに。





「どうして?

千春と付き合えるってだけでも、素晴らしいことなのよ?

辛くなんて、ないわ。


それに私は今日・・・千春に抱いてもらうしっ///」




ほんのりと頬を染めて。


3年のセクシーな先輩が言った。



途端。


周りから『いいなぁ』という声が沸く。





「ま。とにかくそういうことだから。

もう、千春に近づかないでね?


もし近づいたら・・・何するか分からないわよ。」


2年の綺麗な女子が、黒い笑みを浮かべながら言った。




「だいたい。

彼女でもない先輩が、千春先輩に近づくなんて・・・

図々しいにも程があります。」


1年の可愛い女子が、冷たい目で私を見る。




「コレ、警告だから。よろしくね。」


3年のセクシーな先輩が艶やかに笑った。





―――で。



彼女達は去って行った。













――――――私は。


ただ、呆然と。



その場に棒立ちになっていた。








頭の中に蘇るのは――"あの頃"のお母さん。


"あの頃"の兄貴。

"あの頃"の私。


そして、今の司と、未だに何も知らないお父さん。




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