俺様王子様に振り回されて
「私のこと、探してた・・・のか?」


おそるおそるそう聞けば、不機嫌そうな声が返ってきた。




「そうだよ。


一緒に昼飯食うことになってたっつーのに、屋上に来ねぇし。


ムカついてお前の教室行ったら、

飯田が『茜がいないんです!!!』って飛んでくるし。


ホント、いい加減にしろよお前。

この俺に探させるとか、何様だよ。」




森井は、イライラしてるのに。




私は・・・なんか、すごく、嬉しくて。


無意識に頬が緩んでいた。






「そ、っか。サンキュッ・・・」



なんだか、そう言うだけで、精一杯だった。






――なんでこう、森井は。


私がピンチの時に助けてくれるんだろう。








「どーいたしまして。


やっぱ職員室から鍵の束持ってきといて正解だったな。

ほら、今開けてやるよ。」



その声と共に、ガチャリと音がして、ガララララッと引き戸が開いた。






私は、体育倉庫の外へ出た。



なんか、開放感が凄い。




とか軽く感動していると。







「何もされてねぇよな?」



森井がそんな声と一緒に私の顔を覗きこんできた。





綺麗な顔のドアップ。







「わ、わあっ!?////」



思わず顔に熱が集中した。


って、なんでだよ!?






森井はそんな私を見て、ニヤリと悪戯っぽい笑顔を浮かべた。





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