私たちで奏でる物語
第1章
転校
─4月、新学期
水色の空に、愛らしい桃色の花びらが舞う
「綺麗…」
私、如月栞那は窓の外の景色に視線を奪われた
「桜が好きなのかい?」
目の前に座る岡崎(オカザキ)校長先生が、そんな私を見て微笑む
人当たりの良さそうな優しい笑顔の校長先生だが、緊張している私は掠れた声で「…はい」と返した
それに続くように、校長室をノックする音がする
「遅くなりました」