私たちで奏でる物語
「…ごめん」
私はそれだけ言って走りだした
後ろで名前を呼ばれたような気がしたけど私はひたすら走った
行く宛なんかない
ただ海に沿って走って走って
気がすむまで走り続けた
まるで三人から―現実から―逃げるかのように
「…はぁ…はぁ」
不思議だな
さっきは出なかった涙がぽろぽろこぼれ落ちてくる
でも心はこんなに冷めちゃってる
「栞那!!」
「…龍くん…」
後ろから龍くんが走ってくる