私たちで奏でる物語

(……本当、凄い)


私は驚くばかりでしかない


「栞那、大丈夫か?」


龍君が私に目を配る


「…………」


私は3人をジッと見つめた


(駄目だ……)


そして目を瞑り、校門の方へと歩き始めた


「ま、待てよ!」


私は掴まれた腕を振り解かず、成される儘に立ち止まった


「助けてくれて有難う…それじゃ」


強引に歩きだそうとするが、男の子の龍君の力には適わず動けない


「放して…?」

「ほっぺ真っ赤だから、保健室行こ?」

「……大丈夫です」


恋君が私の顔を覗き込もうとするのを阻止するかの様にそっぽを向いて答える


「痕、残る」


初めて那斗君の声を聞いたが、私はそれ以上の感情を押し切った





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