私たちで奏でる物語
『どっ、どうしよう……』
私の眦に雫が溜まりだした時だった
『こんにちは、回覧板でーす』
ナイスタイミング――
隣に住む大賀(オオガ)小母さんの声が家の外から聞こえた
『如月さーん?』
『おっ、小母さん!助けて!!』
『え、栞那ちゃん?どうしたの?』
『おっ、お父さんが……!』
次の言葉より早く、小母さんは私の横を通り越えた
『如月さん、如月さん!!』
小母さんは私同様、お父さんを揺すった後、ポケットから携帯電話を取り出した
『……救急車をお願いします!……はい、はいはい!場所は――』