私たちで奏でる物語
手術室に先生が入っていたのはそれ程長い時間ではなかった
主任の先生らしき人が他の先生を連れマスクを外る
『先生!!夫は……大丈夫ですよね!?』
お母さんは縋る様に迫った
先生は先に私を見、次にお母さんを見て、小声で応えた
『……奥さんですね。最善は尽くしたんですが……』
『――っ!』
『18時48分――御臨終召されました』
先生の、悔しくも淡々とした声にお母さんは只、壊れた様に叫び泣いた
(嘘だ、有り得ない。)
(お父さんが、死んじゃうなんて。)
(そんな、そんな――――、)
『いやあああぁぁーーーー!!!!』
私はその場に泣き崩れた
頭を抱え、震え、喉を潰し叫んで
(どうしてっ…!?)
(どうして神様は、)
(私ばっかり苦しめるの――!!)