*天使の贖罪-勿忘草-*
向こうから数人の人影が見えました。

万が一、知り合いだといけないと思い私は上着のフードを深く被りました。

近づいてくるにつれ、誰なのかが分かってきます。

私の心臓は鼓動の速度を速めていきました。

なぜなら、向こうから来る団体が中学の同級生だったからです。

春休み中なのでお洒落な普段着を着ていました。

私はフードで顔を見えないよう、俯いて歩くことにしました。

でも、見つかってしまったのです。

「あれ?ねえ、新じゃない?」

無事に通り過ぎたと思えたのも束の間でした。

「えー?あ、本当だ。ねえ、なんかさー、愛想悪くない?」

そう言って彼女達はケラケラと笑っていました。

私は怖くなり、その場から走って逃げました。

だけど、彼女達はそんな私を無理矢理押さえ込み、身動きのとれない状態にしました。

「やだ、放して・・・っ」

叫んでも人気のない河原には私達以外、誰もいませんでした。

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