*天使の贖罪-勿忘草-*
手紙
*手紙


未羽那へ。

もう知っているかもしれないが先に言っておく。

俺は最低だ。

これを承知した上でこの手紙を読んで欲しい。

俺がサナと出会ったのは4年前。

バイト先の先輩だった。

もともと綺麗な顔立ちのサナは他の男子店員にも人気だっただろう。

彼女は「何でも聞いてね」て優しく俺に言った。

なのにサナは本当にどんくさくて放っておけなかった。

彼女と仲良くなったきっかけはバイト先の飲み会だった。

飲めない酒を飲んで気持ち悪いと言い出した彼女を俺が家まで送っていくことになったんだ。

サナの家は飲んでいた居酒屋から二駅。

そして徒歩で10分の所にあるマンションだった。

玄関まで送ったものの、とても一人では立っていられないサナを俺は部屋まで上がり、ベッドに寝かせた。

すると、そのまま帰ろうとした俺の服の裾を引っ張り、サナはこう言った。

「いかないで」

酔っている拍子に零した言葉だと分かっていた。

でも俺はなぜかそのサナが愛しく思えただんだ。
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