サンタX
「待ったんだろ。半年。コレで心おきなくアプローチ出来るというものだ。」
半年……離婚してから半年。
離婚した女性が再婚出来る期間。
ひょっとして優真が今日結婚表明しに来たのもこの期間の所為だったんだろうか。
男性は女性のような制約はないけども、直ぐに再婚しなかったのは私を気遣って…
って考え過ぎか?
相手はあのデリカシーのナイ優真だし。
スライドした思考は頭上の声に引き戻された。
「気付かないばかりか、井上にトキメキ、元旦那にヨロメキ、挙句には一人身の飲み会に闘志を燃やし、カラ回りにも程がある。」
「えっ?は!?元旦那って、優真に会ったのを何故知って…。それより、ひょっとして幹事が言ってた私の予定って……」
「ああ。俺が断っておいてやった。たまたま話を耳にして『加宮は用事がある』とな。それなのに懲りずに誘いに来たから、追い返してやっただろう。」
「は?」
「今日デートだと鈴木がハシャイでいたのも知っている。オマエが自分の部下の残業を肩代わりするだろう性質なのもな。」
「はぁ!?」
じゃ、なにか。
この男は私を引きとめるために全てを知った上で仕組んだのか。
策士め……っ!!
「ついでに……」
まだ何かあるのかと睨みつければ、紺野は相変わらずの無表情でしれっと言った。
「誰かに言い寄られたらうっかり飛びついてしまうほど人肌寂しいオマエは現在俺を拒否できなくなっているのも知っている。その証拠に離れられまい。」
「~~~~っ」
悔しい。
悔しいが抱きしめられたまま抵抗もしないでいる状態では何を言っても説得力は皆無。
尤も図星過ぎて言い返す言葉もないけども。