サンタX

…うん。
きっと幹事さん、突発的な仕事でも割り込んできて忙しいのね。
残業になったら私を誘うどころじゃないモノ。
…幹事さん、ガンバ♪

現実逃避に、誰かも分からぬ幹事に激励を送ってみるが虚しい。

きっとさっきの言葉はまるっと気遣い上手な井上の社交辞令だったのだろう。

寂しいオバサンを無駄に舞い上がらせやがって…。

優しさも時には暴力だというのを井上には教えてやった方がいいかもしれない。

しかしだとするとあのメモの主が益々分からなくなってきた。

気分転換に自販機まで歩きながら正美は考える。

そこで正面から来る人物にあ、と目を見開いた。

「優真……」

「正美……」

相手もちょっと驚いたように目を見張り、ついでニカッと悪戯小僧みたいなヤンチャな笑顔を見せた。

それに釣られたように正美も笑う。

「久しぶりね。最近会わなかったんじゃない?」

「ああ。今、ここの担当俺の後輩に任せてっから、ご無沙汰だったんだよな。」

佐藤優真。

取引先の担当。

そして元旦那。

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