東京物語
飲まないとやってられない
と 私達は居酒屋に入った
何度も乾杯を交わして
酒を煽った
楽しい話も
互いの出来事も
色々話していたけれど
どの話の時も
その話100%ではなく
その話が90%でも
10%は 『あの人』を互いに想っていた
だから 結局最後には『あの人』の話になる
そんな自分らに笑えて
また 酒を煽る
『あの人』の事だって
他の話のように語れば良い事なのに
何か その話しは
聞かれてはマズい気がして
小声で話す
「私達、まるで隠れキリシタンだね。」
と笑った。