東京物語



蕾の頃から

やっと貴方の顔が見れそうだ

と涙を流し

咲いていても

綺麗だ

と涙を流し

枯れてゆくその時は

もう 逢えない と涙を流した

とにかくずっと泣いていた

出そうな声を タオルで押え

我慢しても溢れる涙に
どうしてこんなにも泣くのだろう

と解らなくなるほど

ずっと目を潤わせていた

それは あの人も一緒だった

でも その涙の理由は
似ていたとしても

あの人とは違う気がした



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