東京物語
最終章
翌日
昨日までの3日間は
本当に夢じゃないか
というほど
いつも通りに流れて行った
いつも良くしてくれる先輩から電話があって
誕生日パーティーに誘われて…
いろんな人にお土産を渡しながらも
変な気分だった
でも…
この3日間の思い出は
思い出せば鮮明で
あの人との会話も
何処に行ったかという事も
その雰囲気も
音も 匂いも 風も 雨も…
せつなさも 苦しさも
胸の高鳴りも…
あの場に居た時のようにはっきりと思い出せる
そう もちろん『あの人』のことも
しっかりと目に焼き付いている
ほっそりとした体
長い手足
小さな顔と 白い肌
耳から離れない声と
優しい笑顔
思い出すだけでため息をついてしまう
やっぱり私も『あの人』が好きだ
でも あの人のように私の好きは
恋と呼べるものではなくなってしまった
どうしてそうなってしまったのか…
それは 今でも
はっきりとわからない