東京物語
二章
日が決まってからの
“その日”までは あっという間で
当日であるというのに
何処に向かっているのかも
解っているはずなのに解らないような感覚だった
「よっ!」
「あぁ 久し振り」
飛行機から降り
私を見つけたあの人は
そう私に声をかけ
私はそう答えた
久し振りだというのに
あんなに逢いたいと願っていたのに
なんとも出会いはあっけなく
でも それがなんとも私たちらしく
なんだかほっとしていた