七神〜私と君で咲かす花〜
ありえないもの
「……やっぱりいいねぇ」
昼休み。
私はいつものように屋上で、そこから見える景色を眺めていた。
青くすみわたる空に眩しい太陽。
田舎なこともあって、海がすぐそこに広がり、キラキラと輝いている。
そよぐ風がとても気持ちよい。
「きれい…」
この言葉をここで呟くのも何度目だろうか…。
私はここへ来る度に言っているような気もする。
「居た! 琥珀ー!」
しばらく景色を眺めていると、突然扉が開く音がした。
振り返ると、手にお弁当をぶら下げた美春が立っていた。
「探したよ〜。 いつの間にか教室から居なくなってるんだもん」
「一言言ってよね」、とため息混じりに美春が言う。
「ごめん、ごめん。無性にこの景色が見たくなってさ」
「だろうと思った」
美春は「食べよ?」、と柵の側にあったベンチに座った。
それに続いて私も美春の隣に座る。