七神〜私と君で咲かす花〜
「…よし、決めた!」
赤いチェックのリボンに、ニットのベストを身に纏った私は、桜美夜行に向き直る。
「“サク”!!」
「“サク”?」
「今日から、“サク”って呼ぶから!」
桜美夜行は、「はあ?」とでも言うかのような表情して、ため息をつく。
「なにだ、そのセンスのないネーミングは」
「失礼ね! ちゃんと考えたんだよ!? “桜美夜行”の“桜”をとって“サク”!」
少し威張ってみると、更に深いため息をつくサク。
そして、「好きにしろ」と呆れた顔をする。
その「好きにしろ」が、私にとって、何故か認められた気がして。
「あはは」と、笑っていると、一階から4歳年上の姉・葉月の声が聞こえてきた。
「琥珀ー!! あんたいつまで寝てるのー!!? 遅刻するよー!!」
時計を見ると、家を出る予定時刻まで、10分を切っていた。
「行こ! サク!」