七神〜私と君で咲かす花〜
小さなメロンパンをパクっと口に運んだ私の隣で美春が口を開いた。
「小田が殴り掛かってきたこと?」
「うん。 ていうか、そもそも琥珀があんな挑発にのるからだよ」
「ええ!?」
私がいけないの!?
「言葉に反応し過ぎ」
うっ…。
「でも…」
「でも?」
私は少し俯く。
「…お母さんが逃げるなって言ったんだから…」
右耳にある耳飾りをそっと握った。
これは、私が六歳のときにお母さんに渡されたもの。
片耳しかない耳飾り。
耳飾りには、透明感のある濃いピンク色の石が付いている。
これを渡されたとき、お母さんはいつも身に付けておくように、と私に言った。
同時に、お母さんはこうも言った。
『琥珀、貴女はいずれ、血を流すほどの戦いに巻き込まれるわ。でも、どんなに厳しく、辛い戦いであっても、決して逃げては駄目よ。貴女には仲間を護る義務がある』