七神〜私と君で咲かす花〜
これが、耳飾りと同時にお母さんが残した言葉。
お母さんは、それから半年後、不明の病で言葉の意味も言わずに亡くなった。
それ以来、私にとって“逃げる”は、勝負事の禁句になっているのだ。
「でも、未だに意味が分かってないんだよね?」
「うん。 “血を流すほどの戦い”とか、“仲間を護る義務”とか。さっぱりだよ」
「小さい頃に何かあったとか?」
美春の質問に私は首を横に振った。
「だいたい、血を流すほどの戦いなんて、どこの時代劇だって感じだよ」
私は呆れたように笑った。
今は内戦もほとんど無いこの世の中。
戦いなんて、どこにあるの?
戦いなんて、する必要あるの―?
「まあ、そこも自分たちで考えろって事なんじゃない?」
「かもね。 ったく、物好きな母親だこと」
そう言いながら、私は立ち上がり、柵に腕をかけた。
食べていたメロンパンも終わり、生徒達が走り回る校庭を見つめる。