七神〜私と君で咲かす花〜
月神は扉を開き、階段を降り始める。
私は速足で彼について行きながら言った。
「私も琥珀でいいからさ。昨日みたいに」
「……」
聞こえているのか、いないのか、月神は黙ったまま。
でも、気になることが1つ。
「顔、赤いよ?」
「…っ、う、うるせーっ」
月神は口元を手で覆う。
千尋はそんな彼を見て、何故か笑っていて。
「こいつ、女子に慣れてないんだよ。昨日も、琥珀のことを名前で呼んだことにびびってた」
「クククッ」と、千尋がお腹を抱えながらも笑いを堪える。
調子に乗った彼は、月神の真似までやり始めた。
「“やべ、反射的に名前呼んじまった!機嫌悪くしたかな!?”みたいな?……いででで!!」
黒いオーラを放つ月神が、千尋の頭を鷲掴みにする。
「いい加減にしろよぉ? 千尋ぉ………」
「わわわ、悪かったって!!」