七神〜私と君で咲かす花〜
千尋は必死に解放を求めるが、月神は手の力を弱めるどころか、更に力を入れた。
月神は千尋の頭を掴んだまま、歩き出す。
ただ、面白いことに、顔が赤いだけだった月神は面積を広げ、耳まで赤くしていて。
「…ふっ」
彼に聞こえないように、こっそり笑う。
そんなに慣れてないんだ。
ちょっと意外だったかも。
「行くぞ、琥珀」
「っ!!」
不意に、月神が私の下の名前を呼んだ。
でも、やっぱり彼の顔は赤くて。
「待って、颯!」
私は少し先にいる颯達に追いつくため、駆け足で階段を降りた。