七神〜私と君で咲かす花〜
しかし、未琴は私に舌を出してアッカンベーをすると、「ジュース買いに行こ!」なんて独り言を呟きながら、教室から姿を消してしまった。
「逃げられた……」
私がボソッと呟やいたのが聞こえたらしく、「なんのこと?」と頭にはてなを浮かべる美春。
それに対して私は「なんでもない」と必死に誤魔化した。
また誤魔化して、美春に嘘ついちゃった。
胸の中に募っていく罪悪感を感じる。
美春には、ばか正直って言ってもいいくらい、どんなことでも正直に打ち明けてきた。
家の障子を破ったこと。
家族に言えない、好きな人のことも。
それに、私がついた嘘はいつも美春に見破られて。
今まで正直だった分、今日一気についた嘘や、誤魔化しなんかは、特別大きな罪悪感で。
ごめんね、美春……ごめん。
心の中で何度も謝った。
「琥珀ーっ!帰ろー!」