七神〜私と君で咲かす花〜
放課後、職員室に出席簿を持っていった美春が、帰ってきて教室に顔を出す。
「うんっ」
私はそう返事をすると、鞄に教科書などを詰め込み、教室の入口に立つ美春に駆け寄った。
サクは「帰る」と言って先に帰ってしまっている。
カツン、カツンと音をたてながら、2階から1階までの短い階段を下る。
私はその間、5限と6限の間の休み時間に颯に言われたことを、思い出していた。
『いいか。こっちの世界にもお前の命や力を狙う奴は山ほどいる。お前の名がいつ危ない奴らの耳に入ってもおかしくねぇ。力のことは誰にも言うな。たとえ、どんなに身近な奴だとしても……』
身近な奴ーー。
隣にある美春の横顔を見る。
美春にも言ったらいけないんだ。
「……」
「ん?どうしたの?」
美春がこちらに気付き、首を傾げてきた。
美春に訊かれ、ハッと我に返る。