七神〜私と君で咲かす花〜



「あ……えと……髪にホコリがついてるよ」



美春は「嘘!?」と焦りながら、自分の頭を触る。



私は、「じっとしてて」と彼女を止め、頭についたホコリを取る振りをした。



「はい、取れたよ」



「ありがとう!」



美春はニッコリと笑う。



……本当はホコリなんて、どこにもついてないのに。



私はまた、美春に嘘をついたんだ。



そして、その嘘に美春は気づいていない。



「……」



「琥珀?」



黙った私の顔を、美春が心配そうに覗き込んだ。



「大丈夫?さっきから変だよ?」



「なんでもないよ」



「さっきからそればかりじゃない。本当に大丈……」



「なんでもないってば!」



あ………。



しまったと言わんばかりに口を両手で覆う。



美春は目をまん丸にしていて。



やっちゃった……。



一気に押し寄せる後悔。



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