七神〜私と君で咲かす花〜



颯は何も答えない。



「……甘いんだよ、お前は。何もかも。今度また危ない目に遭わせてみろ。ぶん殴るからな」



千尋はそう言うと、颯を掴んでいた手をほどき、道場を出ていった。



道場の中を覗くのをやめ、ぺたりと床に崩れ落ちる。



…え、何?



今日のことって、そんなにヤバかったの?



私って何なの?



何で颯が責められなきゃいけないの?



頭の中が混乱して、渦をまく。



「琥珀?」



突然頭上から声がした。



驚いて顔を上げると、目を見開いてこちらを見る颯。



ドキんと胸が高鳴る。



「何でお前、ここにいるんだよ?」



「えーと……アハハ」



「誤魔化すんじゃねえよ。見張りが居たろ」



「彼らは楽しそうにトークをしていたので、こっそり出てきました」



すると颯は呆れながら深いため息を漏らした。



< 192 / 213 >

この作品をシェア

pagetop