七神〜私と君で咲かす花〜



空に見とれて口を開ける私に、「綺麗だろ?」と、颯が微笑んだ。



「……っ」



颯の笑顔に思わず彼から目を反らす。



……あのときと同じだ。



また、高鳴る胸の鼓動。



屋上でのことを思い出した。



夕焼けに見とれる私に、颯が笑顔でこちらを見る。



あのときは「別に」とか素っ気ない態度しかとれなかったけど。



あのときからまだ少ししか経ってないけど。



「うん。凄く綺麗」



これが本心。



私は颯にとびっきりの笑顔を見せた。



「……っ」



今度は颯が顔に手を当てながらそっぽを向く。



「どうかした?」



首を傾げて尋ねると、「何でもない」と素っ気ない返事が返ってきた。



一度、空気が静まりかえって、颯が口を開く。



「悪かった。あんな目に遭わせて」



「そんな。颯が謝ることないじゃん。大丈夫って言ったのも私だし」



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