七神〜私と君で咲かす花〜
「はぁ、分かりました」
佐伯さんも了承してくれて、この話は一端切ることにした。
予鈴がなり、運動場にいた生徒達が急ぎ足で校舎へ戻り始める。
「俺らも戻るか」
運動場の様子を見ていた颯が不意に言った。
「佐伯さんも行こっ」
入り口に向かって歩き出した颯達のあとをついていきながら、立ったままだった佐伯さんの手を引いた。
「あのっ」
不意に佐伯さんが私を呼んだ。
「どうかした?」
手を放して立ち止まってみる。
「名前を、聞きたいなって……」
「あ、そう言えば言ってないね!」
恥ずかしそうにする佐伯さんに笑ってみせた。
「B組の佐野宮琥珀!“琥珀”でいいよっ」
笑顔で答えてみせると、佐伯さんも笑顔を見せてくれた。
「琥珀かぁ。私は由紀乃って呼んで!よろしく、琥珀!」