七神〜私と君で咲かす花〜
全部バッグに詰め終わると、残っていた美春の弁当箱を片手に持った。
ベンチの周りを見渡す。
よし、これでいい。
「偉いねぇ。まあ、頑張ってよ」
また後ろから声がした。
その月神の声は、挑発的で、まるで他人事のような口調だった。
「他人事みたいに言わないでよ。あんたもサボるとか考えないで、ちゃんと授業に……」
私は振り返りのと同時に言う。
しかし―。
「っ!!?」
振り返ったところで、もうそこに月神の姿は無い。
「なん…で…っ!?」
月神が言ったあと、すぐに私は振り返った。
なのに。
「どうして…」
あんな短時間で姿を消せるはずかない。
辺りは人の気配が無く、どうやら本当に私ひとりになったらしい。
私は息を飲んだ。
人間技じゃない。
きっと、体育のあとの事も、見間違いじゃない。
月神には何かある。