七神〜私と君で咲かす花〜
…ていうか、会話が成立してないんですけど。
心の中でツッこみながらも、会話を続けた。
「何で?」
「いいからっ」
月神に言われ、訳が分からず側にあったはしごを登る。
はしごは、少しぐらついていて、少し怖い。
「何?」
ビクビクしながらも、はしごを登り終えた私は、真っ直ぐ前を見つめたままの月神に、もう一度訊いた。
「ん」
月神はこちらを向くと、自分の顎を、くいっとさっきまで見つめていた方向に動かした。
私は指された方向に目をやる。
「わぁ…」
私は思わず声を上げた。
そこに広がっていたのは、全てが夕日のオレンジ色に染まる、町の景色。
ここに登ったことで、いつもは見えないところまで、広い範囲を見渡せる。
「綺麗…」
本当に綺麗だった。
海も、家も、校庭も、みんなオレンジ。
「いい場所だろ?」
隣から、月神が得意気に言ってきた。