七神〜私と君で咲かす花〜
「よかった…」
案外簡単に見つけることができ、ホッとため息をを漏らす。
私は月に、イヤリングの石を向けてみた。
すると―
「何これ?」
ひし形の石の中心に、描かれている桜の形。
それは白く光っていて。
「すごい…」
知らなかった。
月に透かすと、こんなに綺麗な形が浮かび上がるなんて。
しばらくそれに見とれていたが、ハッと我に返る。
「いけない、こんなことしてる場合じゃない!」
急いでイヤリングを身に付けると、非常階段を掛け下りた。
運動場にある時計を見ると、午後10時30分を指している。
早く帰らないと…。
「…ん?」
正門に向かって走ろうとしたが、思わず途中で足を止めた。
校庭の端の植木などが並ぶところ。
その植木の中のひとつの木が…いや、
その木の辺りの空間自体が、ゆらゆらと揺らめいている。